ヒストリートおよびヒストリートⅡは、来年移転してリニューアルオープンします。今年度ヒストリートで開催される企画展は、シリーズ「アンコール! ヒストリート」と題し、これまでヒストリートで開催された企画展からのアンコール・セレクション展示を行います。その第1弾として、今回は2009年9月7日にヒストリートⅡのオープニングを飾った「石川文洋 村瀬春樹 ゆみこ・ながい・むらせ/写真と道具が語る世界」をアンコール開催いたします。
 石川氏はベトナム戦争での従軍取材による報道写真で知られていますが、撮影対象は広範囲にわたり、各国の紛争地での撮影、人々の日常生活、舞台芸能なども撮影しています。故郷の沖縄も度々訪れて沖縄の様々な場面を記録におさめています。これまで、ヒストリートでは石川氏の1969年から現在までを断続的に撮影した沖縄の様子、ベトナム戦争、紛争地のアフガニスタン等を扱った写真展を開催しましたが、本展ではそれらの作品を一堂に集めて紹介しています。
 一方、村瀬春樹、ゆみこ・ながい・むらせの両氏から寄託いただいた「戦中戦後の転用品・代用品」は、人々が使う道具の材料をとおして時代背景を知るのがテーマです。平時には、金属で作られていたものが、戦争では金属が兵器の材料になることによって日常生活では使用できなくなり、陶製や木製に代用されました。戦後になると飛行機の材料であるジュラルミンや砲弾の薬きょうなどを利用した道具が登場します。戦時中は人を殺傷する兵器が、戦後は一転して人々を活かすための道具になったのです。これは沖縄だけではなく、ベトナムやアフガニスタンでも同じでした。
 もの言わぬ写真や道具たちですが、それらは、見る人の気持ちひとつで雄弁に時代を語り、次世代への思いを語ってくれるのです。
 本企画展を開催するにあたって、写真資料・実物資料の提供をはじめ、ご理解・ご協力を賜りました石川文洋氏および村瀬春樹、ゆみこ・ながい・むらせの両氏にあらためて御礼申し上げます。